虫歯の進行とは

虫歯は歯の表面の脱灰から始まります。歯の表面が茶色くなったり、ザラザラしているところは要注意です。進行すると歯に穴があき、痛みが出てきます。虫歯は以下の段階を経て進行していきます。

Co－虫歯になる一歩手前の状態です。歯に穴は空いていませんが、表面だけが白くなったり、茶色く着色しています。

 

C1－初期の虫歯でエナメル質または僅かに象牙質の表面が侵食された程度の状態です。自覚症状はほとんどありませんが、見た目より虫歯が大きく進行している場合もあります。

 

C2－虫歯が象牙質の大部分まで進行している状態です。冷たいものがしみたり、甘いものを食べると痛みを感じたりするなどの自覚症状が現れます。

 

C3－虫歯が進行して※内部の神経（歯髄）まで侵食されることで、神経の炎症が引き起こされた状態です。神経（歯髄）まで侵された状態なので激痛が伴う症状が出る場合があります。

 

細菌の感染が神経（歯髄）全体に及ぶと（＝歯髄炎）、さらに深いところまで感染は進み、歯根の先（根尖部）で膿の袋を形成するようになります。（＝根尖性歯周炎）
ここまで進行した状態になると、感染した神経（歯髄）を除去する治療（＝根管治療）が必要となります。

C4－C3の状態がさらに進行した状態です。歯冠の崩壊も顕著となり、歯冠の修復、保存が困難な場合は抜歯しなければならないこともあります。

 

※歯の構造は細かく見ると、その中心から神経（歯髄）、それを囲む象牙質、さらにその象牙質を囲むように歯の上部はエナメル質、下部はセメント質という組織で覆われています。この上部のことを歯冠、下部のことは歯根と分けて呼ばれています。

歯冠とは歯の一部分のことであり、口腔内で実際に歯肉から萌出している白く見える部分のことです。歯はこの歯冠部と口腔内では見えない部分の歯根に区別することができます。歯根は歯槽と呼ばれる歯と顎骨を結ぶ骨の中に埋まっており、歯を顎骨に保持する役目を担っています。歯冠は外部から刺激から歯髄を守る役割を担うためその表面が硬い組織であるエナメル質で覆われています。また、歯根は歯を顎骨につなぎとめる役割の一部を担っておりその表面が軟らかいセメント質という組織で覆われているため、見た目だけでなく組織的にも両者は異なる性質を持っています。（「保存治療」欄参照）

 

 

歯周病とは

歯周病は痛みや見た目の変化が表れにくいため、ケア意識が薄くなりがちですが、現在では歯を失う原因の第一位は歯周病が原因と言われています。

歯周病の原因は、プラークと呼ばれる細菌の塊が歯と歯肉の境目に蓄積することにより引き起こされる細菌による感染症です。歯周病は初期から中等度は自覚症状がほとんどなく進行していきます。多くの場合、症状を自覚するのは歯周病が進行し歯を支える顎骨が細菌の感染により溶けて歯が動くのを感じる、もしくは歯肉が腫れて痛みを感じるときです。しかし、ここまで進行すると歯周病の症状はかなり進行している状態です。歯周病の症状は初期、中期、後期と進行することで変化していきます。

・初期（歯肉炎）－歯肉に赤いところが出てくる、歯を磨くと出血する、歯が浮いたような感じがする、歯肉にかゆみを感じる

・中期（歯周炎）－歯肉が時々赤く腫れて痛む、歯肉から出血、膿みが出ることがある、口臭が気になる、冷たい物を食べると歯がしみる

・後期（歯周炎｛歯槽膿漏｝）－歯肉がブヨブヨして出血、膿みがでる、歯がグラグラする、口臭がひどくなる、食べ物が嚙みづらい

 

これらの症状で１つでも当てはまる症状があれば歯周病の可能性がある為、早めに治療を受けましょう。（「歯周病治療」欄参照）

 

 

咬合病とは

嚙み合わせ（咬合）の不調和により発現、促進される種々の病態の総称です。

咬合病には口の開閉に関わる筋肉（開閉口筋群）と顎関節を構成する器官の疾患が含まれており、咬合病の原因は嚙み合わせの不調和（不正咬合）にあることから、他診療科の医師または整体師などが診断と治療を行うことは不可能であり、咬合病の診断・治療は歯科医師のみが行えるものです。

咬合病の主な症状には

1.顎関節とその周囲の痛みや違和感

2.開口障害（口が開けづらい）

3.顎を動かしたときの痛みや雑音

4.頭痛

5.めまい　などがあげられます。

このような症状がある場合は早めに歯科医師へご相談されたほうがよいでしょう。

咬合病が疑われた場合、問診など様々な診察を含む咬合分析を行います。分析の結果、不正咬合が確認された場合は診断結果をもとに治療方針を患者さんに説明し、了解を得た上で咬合病の治療を開始することになります。

（「咬合・顎関節治療」欄参照）